今回は地動説に人生を懸けるアツい学者達の生き様を描いた『チ。ー地球の運動についてー』を紹介していきます。
地動説?天動説?難しそう!
って思った方も安心してください。
専門的な部分もありますが、この話のメインは難しい天文学ではなく、人間の底知らぬ好奇心と飽くなき信念を貫く姿です。
作品概要
作者:魚豊
出版社:小学館
掲載誌:ビッグコミックスピリッツ
巻数:既刊3巻 (2021/06/14現在)
受賞歴:マンガ大賞2021 2位
「ビッグコミックスBROS.NET」より引用
あらすじ紹介
舞台は15世紀前半のヨーロッパのP王国。ここではC教という宗教が中心で、C教の教えに背くものは異端者として激しく弾圧されています。
中でも、C教は天動説を説いており、地動説の研究は異端として禁止されていました。
そんな中、天動説に魅了された学者達が命のリレーを繋ぎ少しずつ真実へ近づいていくという物語です。
名シーン・見所紹介(ネタバレ注意)
世界の在り方を変えた天文学
15世紀までは、 『天動説』 つまり地球が宇宙の中心であり、太陽や他の星は地球の周りを回っていると信じられていました。
序盤の主人公のラファウは、とある研究してC教に捕まっていたフベルトと出会うことで価値観を一変します。
その研究とは、『地動説』つまり太陽を中心に我々の暮らす地球がその周りを回っているというものでした。
引用:『チ。ー地球の運動についてー 』1巻 魚豊/ビッグコミックス
地動説を聞いた直後にラファウは3つの理由で否定します。
- 矛盾が多すぎる (地球が動いているならば、なぜジャンプしても同じ場所に着地するのか、など)
- 地動説があっていたとしても誰も支持しない。(宗教観から)
- そんな直感に命を預けるのは、愚かだ。(二度研究がバレると死刑)
しかし、その日の帰路で何かにつまづき、思いっきり尻餅をつきます。このときに視点か逆転し周囲の山がひっくり返ったように見えました。
つまり観測者が動けば、静止した観測対象も動いてみえるということであり、地球が自転していることに気づきました。
家に帰ったラファウは、公転についても仮説を立て始め、地動説が正しいと直感します。
引用:『チ。ー地球の運動についてー 』1巻 魚豊/ビッグコミックス
アツい名言の数々
引用:『チ。ー地球の運動についてー 』1巻 魚豊/ビッグコミックス
一つ目はフベルトの台詞です。ラファウに自分の直感を信じて間違っていたらどうするのかと問われ、答えるシーンです。
たとえ地動説が間違っていたとしても、自分の信じた道を歩むことに意味を見いだせる信念を感じる台詞ですね。
引用:『チ。ー地球の運動についてー 』1巻 魚豊/ビッグコミックス
二つ目は、フベルトから地動説の資料を引き継ぎ、その資料を燃やしてほしいと描いた手紙を読んだ後のシーンです。
危険な研究故に燃やした方が良いと理屈では理解しますが、直感で地動説を信じたいと思ったラファウは、資料を残すことにします。
かなりの量の資料ですから、バレたら、、、。
引用:『チ。ー地球の運動についてー 』2巻 魚豊/ビッグコミックス
ラファウから資料を受け継いだ異端者の処刑場への輸送中のシーンです。
異端者は、オクジーとグラスに話しかけます。
今のC教が説く天国の存在や天動説をはじめとする教えは正しいのか?
本当は天国など無いとわかっていながらも、それにすがるしかないのではないか?
そして、この地球こそが天国よりも美しいと。
異端者の話に共感したグラスは、異端者と共に脱走することを決心します。
登場人物
ラファウ
本作品の主人公の一人で成績優秀な青年。大学では神学を専攻する予定でしたが、ある日フベルトと出会い地動説の美しさに魅了され、天文学を志します。
フベルト
地動説を研究していたが、C教に見つかり拷問を受けていました。改心したと嘘つきポトツキに引き取られたが、その後も研究を続け、処刑されてしまいます。研究資料はラファウに託しました。
ポトツキ
ラファウの義父で以前は地動説の研究をしており、C教に捕まったことがあります。
オクジー
代闘士という職業で貴族の決闘代行を行っています。非常に優れた視力の持ち主で天体の観測で大いに役立ちます。性格はネガティブで現世には何も期待していません。
グラス
オクジーの同僚で性格は反対のポジティブ思考。家族を亡くした際に、天体観測を始め人生のよりどころにしています。
バデーニ
C教の修道士で非常に優秀でしたが、知への探究心が強すぎたため閲覧禁止書物を無断で閲覧し、ロウソクで目を焼かれ田舎に左遷されました。オクジーと出会い、天動説の証明に乗り出します。
謎の異端者
処刑場への輸送車の中でオクジーとグラスに出会います。共に脱走しフベルトの首飾りと研究資料をオクジーに託しました。
まとめ
『 チ。ー地球の運動ー 』 は、とにかく話の内容が濃く、めまぐるしく展開が変化します。
天文学、宗教、人の命、など数々のテーマを1つの作品にまとめた間違いなく傑作です。
地動説を証明するべく立ち上がった数々の学者の生き様を是非ご覧になってください!!
コメント